薄ら笑いを浮かべながら、噂の真相を解明しようと必死になる彼女の肩を、我慢の限界を越えたらしい蓮司が乱暴に掴んだ。
そんな蓮司を慌てて止めに入ったアユちゃんと、蓮司の剣幕に今度こそ怯んだらしい彼女が慌てて後ろへと足を引く。
そのやり取りの一つ一つを、私は未だに真っ白な頭の中でぼんやりと理解し、なんとか地に足をつけたまま浅く呼吸を繰り返した。
そうして、ゆっくりと。
ゆっくりと瞬きをすると、拳を握りしめて───
「……栞?」
その手を制服のポケットへと入れ携帯を取り出すと、指を静かに滑らせ真っ黒な画面をタップした。