「……おい。なんだよ、さっきからチラチラ見やがって気分悪ぃ」
低く這うような声を出した蓮司に、後輩の女の子達が一瞬ビクリと肩を揺らした。
「え、何?何の話?」
「……いや。こいつらが、さっきから俺らをチラチラ見ながら何か話してたから」
「えー。何?まさか、蓮司のファンの女の子達とか?だとしたら、私達は蓮司の彼女でも何でもないし、全然貰っていっていいからねぇ?」
「アァ!?そういうんじゃねぇだろ!!」
「えー、そう?だとしたら、何?なんの用?」
「いや、だから今それを聞こうと─── 」
「あ……あのっ!!」
─── 嫌な、予感がした。
「平塚 栞さんは……何で声が出ないんですか?」
─── 嫌な、予感がする。