未だに言い争っている2人と並んで、3人で始業式を終えた体育館を後にした。


……と。教室へと向かう道の途中、何人かの後輩たちがこちらを見て何かを話しているのが目についた。


なんだろう……というか、こんな風に向けられる好奇の目を今朝から何度か感じていて、つい後輩たちの会話に耳を傾けてしまった。



「……ほら、あの人」

「えー、マジ?」

「あの噂がホントだったら、超ヤバくない!?」



……本人たちは、ヒソヒソと声を潜めているつもりだろうが、丸聞こえだ。


けれど、そんなことより話しているその内容が気になって……不安で、つい視線を下へと落としてしまった。



「……栞?」


「……っ、」



そんな私の様子に目敏く気付いた蓮司が、直ぐさま声を掛けてくれる。


それに慌てて顔を上げれば、蓮司はあからさまに眉を顰めて、未だにバレていないと思っているらしい、後輩達へと唐突に声を掛けた。