「おー、相馬。今日も早いな。関心関心」
ぼんやりと、そんなことを考えながら新聞を眺めていれば、突然開いた扉。
手に新聞を持った進路指導の先生が、寝癖そのままに俺の前まで来ると、無造作にそれを机の上へと置いた。
「相馬は、今年一番の期待の星だからなぁ。頑張ってる姿を見ると、俺達教師一同、安心するよ」
「……期待の星、なんて言われるほどの人間じゃないですけど」
「ハハッ、まぁ、とにかく。ここまできて問題だけは起こさないでくれよ!!人生を棒に振るようなもんだ。そういうことでもなきゃ、お前なら高確率で大丈夫だって、みんな思ってるんだからなぁ」
「……恐縮です」
大丈夫、なんて。そんな無責任なこと、軽々しく言うなよ。
心の中でそう悪態づきつつ、なんの身にもならないやり取りを二三した後、先生は騒がしく資料室を出て行った。
今日も静寂に包まれた空間。
先程まで目を通していた新聞を閉じ、渡されたばかりの新聞を開くと一人、黙々と作業に取り掛かった。