先輩……樹生、先輩。
先輩のことが好きで、先輩の言葉が好きで、先輩の全てが……好き。
今すぐにでも声にして伝えたい程に心を埋め尽くす想いに、私はあと何度、胸を締め付けられるのだろう。
私はこれから何度、樹生先輩への恋心を自覚するのだろう。
─── 例えこの恋が叶わなくても、先輩を好きでいられるだけで充分だ。
私に笑顔を向けてくれている先輩を前に、零れた涙を拭って顔を上げれば、先輩は一度だけ小さく頷いた。
それを合図に、再び蓮司の方へと向き直る。
そして拳を強く握り、大きく息を吸い込んで───
「(─── 蓮司の、馬鹿ッ!!!!)」
そう言うと、今にも泣きそうに顔を歪めている蓮司を、睨みつけた。