「……もしかして、前に言ってた幼馴染み?喧嘩した、って言ってた」


「っ、」


「……なるほど」



一触即発。

張り詰めた空気を破ったのは、こんな状況でも取り乱すこともせず、ひたすらに冷静な先輩の、穏やかな声だった。


再び蓮司から先輩へと視線を戻せば、先輩は戸惑う私を見て優しく微笑んでくれていて。


先輩は、どこまで“気付き”が出来る人なんだろうと胸が苦しくなる。


そして、それと同時にたったそれだけで全てを察してくれる先輩の温もりに……


先輩の持つ包み込むような優しさに、今すぐにでも声を上げて泣きたくなった。