「……そっか、」
だけど、その安堵もすぐに隠し切れない不安へと色を変えた。
だって、私同様─── 驚きに固まっていた蓮司が、突然声を荒げたから。
「なんで……」
「……っ、」
「なんで、こんなとこにいんだよ……!!祭りなんか来て、迷子にでもなったらどうすんだ!!危ねぇだろうがっ!!」
穏やかな先輩とは裏腹に、決裂したあの日の様に激昂した蓮司が鋭い視線を私へ向ける。
けれど、それも一瞬。
蓮司のその視線はすぐに、私から隣に立つ先輩へと移った。
蓮司の敵意に濡れた視線に、隠し切れない焦りと暗雲が立ち込める。
だけど私は、その全てを声に出来るはずもなく、一方的に先輩を睨みつける蓮司を、揺れる瞳でただ見つめ返すことしか出来なかった。