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「ん、やっぱり栞に食べさせてもらった方が、甘い」



……本当に、どうにかなってしまうんじゃないかと自分でも不安になる。


樹生先輩に誘導……誘惑されるがまま、先輩の口にかき氷を運んで、「良く出来ました」と微笑む先輩の全てに見惚れた。


先輩から与えられた甘い熱で、私もこのかき氷みたいに、溶けてしまうんじゃないかな。


先輩のことが好きで、大好きで、幸せ過ぎて。


このまま時間が止まってくれたらいいのになんて、子供みたいなことを本気で考えた。



「次は、どこに行く?他にも食べたいものとか欲しいものとかある?」



だけど、先輩のその言葉に返事を返そうとした瞬間。



「……栞?」


「……っ、」



甘い甘いその熱は、夏の夜の闇の中に、驚くほど儚く紛れ、消えてしまった。