その仕草と表情だけで、栞が何を言いたいのか、何を気にしているのかわかってしまう。
わかってしまうから、つい……虐めたくなる。
「しょうがないなぁ、こうやって、食べさせる。オッケー?」
「っ!!」
キュ、と。ストロースプーンを持っている栞の手を掴み、素早くかき氷を掬うとそのまま自分の口へと運んだ。
「……冷た。かき氷とか何年ぶり」
「〜〜……っ!!」
その突然の俺の行動に、暗闇でもわかる程に顔を赤くした栞がパクパクと言葉にならないといったふうに口を動かすのを見て、思わず吹き出す。
そして、掴んでいた手をゆっくりと放すと、今度は何も言わずに栞をジッ、と見つめた。
「……っ、」
すると、そんな俺の行動に全てを察したらしい栞。
しばらく何かを考えていたようだけれど、決して譲る気のない俺に、突然決心したように唇を引き結ぶと、今度は自らかき氷を掬って望み通り、俺の口へと甘酸っぱい香りを運んでくれた。