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「栞、そんな急がなくても大丈夫だから。ゆっくり見よう」



数年ぶり、と言っていただけあって、栞のはしゃぎっぷりは、同じ祭りに来てる小学生並なんじゃ?なんて思うほどだった。


浴衣を着ているくせに、俺の手を引いたまま早足になったり、興味を引いたものの前で突然立ち止まったり。


栞のペースに合わせるのと、そんな栞を人混みから守るのに必死になっている内に、自分もまた祭りの賑やかな空気に感化されつつあった。



「一旦、そこで休憩しよ。その公園の入口のとこ」



俺の提案に、繋がれた手とは反対の手にいちごミルクの掛かったかき氷を持った栞が笑顔で頷く。


それに笑みを返し人混みの流れから抜けると、俺達は小さな公園の入口へと歩を進めた。