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アキとマリちゃんと別れたあと、お祭りのメイン通りへ向かった。
屋台の灯りと人で賑わったそこは、お世辞にも綺麗だなんて言えないのに、人々の笑顔で溢れている。
(……最低限のマナーとか、無視か)
足元には、かき氷の入っていたであろうカップや割り箸など、無造作に散らばったゴミ達。
浴衣には欠かせない下駄を履いている栞がそのゴミを踏んだりしてケガでもしないかと心配になった。
栞はどうせ、ケガしたって心配掛けたくないからって黙ってそうだし。
そもそも、お祭りっていうのは子供も楽しむ場所であって、こういう場でこそ見本とならなければいけないはずなのに。
最低限のマナーくらい守れよ、なんて、まるで教育者みたいなことを思ってしまい、つい気分が憂鬱に苛まれる。