「……樹生のこと、よろしくね」


(え?)



言われた言葉に思わず目を見開けば、突然グイッと引かれた腕。


勢い良くアキさんから身体が離れ、一瞬ふわりと軽くなった身体は、先輩の身体に抱き留められた。



「……近づき過ぎ、」


「(え、え……!?)」



あまりに唐突な出来事に、言葉を失ったまま先輩を見上げれば、そこにはアキさんへと鋭い視線を向ける樹生先輩。


そんな先輩を前に、アキさんとマリさんは何故か嬉しそうな笑みを浮かべていて、一人、何もかもについていけない私はただただ困惑で目を泳がせるしかなかった。