「……なんの、話だ」
「なんのって聞かれると……話したいことがありすぎるから、とりあえず今一番伝えたいことだけ言うよ」
まだ、胸の内の全てを吐露(とろ)にするには時間が足りなくて。
更には忙しいであろう父の時間を浪費するわけにもいかないから、今は伝えるべきこと、今伝えたいことだけを話したいと思った。
「……今まで、色々と意地を張ってて、ごめん」
「樹……生?」
「こんなこと言っても理解してもらえないかもしれないけど……。でも、今日まで父さんに向き合わなかったのは、子供である俺なりの、精一杯の抵抗だったんだ」
自分を見てくれない両親への抵抗。
そんな現実を受け入れたくないが為の、抵抗。