─── いつぶりかもわからない、再会の場所は父が働く病院だった。


かつて、幼い自分が寂しさを抱えながら生活していたマンションに行ってしまうと、やっぱり心が折れてしまうんじゃないか、そんな不安があったから。


だけど、何より今は父と父の恋人が暮らすその場所には、なんとなく足を踏み入れてはいけない気がした。



ナースステーションに訪れると、父の息子であることを告げ、父を呼び出してもらった。


突然現れた俺に、一瞬だけ驚いた様子を見せた看護師は、すぐに備え付けられた電話で父へと内線を廻してくれた。


昔から忙しい父は、生活の殆どを病院で過ごしていたけれど、どうやらそれは、今でも変わらないらしい。


そして、今でも変わっていない父のライフスタイルに安堵し……少しだけ。ほんの少しだけ、忙しい父の身体が心配になった。