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「褒めて、くれる?」



きっと今の俺は、酷く情けない奴に見えてるんじゃないかと思う。


そんな自分を誤魔化すようにそう言って首を傾げれば、栞は両手で顔を覆ってその場に蹲ってしまった。


指の隙間から零れる、涙の雫。


優しすぎるその雨は、俺の心にまた一つ、小さな花を咲かせた。



「また、泣かせてごめん。でも……俺の為に泣いてくれて、ありがとう」



本当に、自分勝手だけど。


栞の前にしゃがみ込み、彼女の柔らかな黒髪を優しく撫でれば心にまた一つ、小さな花の蕾。


泣かせてしまったくせに、“ありがとう”なんて。


それでも今は、自分の為に泣いてくれる人がいるという現実が、ただただ嬉しかった。