不意に、手に感じた温もり。


気が付けば、本に載せたままで冷たさしかない手に、向かいの本棚から伸ばされた手が重なっていた。



「……そのまま、言い訳、聞いてくれる?」


「……っ、」



想い続けたその人の声に、胸が震えた。


重なっていない方の手で口元を抑えた私は、溢れそうになる涙を必死に堪えながら、一度だけ大きく頷いた。