「─── 次は、── 駅── 駅。」
降りるべき駅への到着を知らされたのは、それから数分後。
その頃には、どうにか涙も引いていた。
一度だけ大きく揺れて止まった電車。
プシュー、という空気の抜けるような音と同時に扉が開けば、それを合図に人の群れが車内から一斉に外へ出る。
(……わわっ!?)
ドア付近にいた私は、必然的に飲み込まれるように飛び出して、身体は大きくよろめいた。
慣れない満員電車の洗礼を、最後の最後まで受ける羽目になった私。
それでもなんとか、足を踏ん張ろうとしたのだけれど……
(きゃっ……!!)
その足は誰かの足に躓いて(つまずいて)、視界が大きくぐらりと揺れたと同時、私は反射的に両瞼を力一杯閉じていた。