(……はぁ、)
話をしていない、というだけであればまだ救いようがあるのかもしれない。
先輩の顔を見ることができて、先輩の様子を伺う事ができたのなら、ここまで憂鬱にもなっていないのかも。
─── そう。
あの日以来、樹生先輩は毎朝乗っていた時間の電車にも現れることもなくなり、更には図書館にも一度も来ていないのだ。
と言っても、もしかしたら図書館には来ているのかもしれないけれど、偶然顔を合わせることはなくなった。
図書館で顔を合わせなくなっただけなら、時間が合わなくなったのか……または、アルバイトや受験勉強が忙しいとか。
色々な理由は思い浮かぶけれど、朝の電車にも現れないことを思えば、先輩にも避けられていることは明白だった。