そこまで言うと、微笑んで。


私は静かに携帯と勉強道具を鞄の中にしまった。


立ち上がり、座り込んだままの先輩に一度だけ頭を下げて脱衣所へ向かう。


先輩に借りたパーカーを脱ぎ、すっかり乾いたブラウスに腕を通した私は再び鞄を手に持って玄関の扉を開けた。



「(……先輩、また明日、です)」



扉を閉めて、心の中で呟いたその声は、リビングにいるはずの先輩に届くことはない。


ここに来た時のようにエントランスを抜け外に出ると、あんなに酷かった雨は上がっていて。


見上げた先に広がる夕焼けの空には、大きな虹が掛かっていた。



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 『Rosemary(ローズマリー)』

 誠実・変わらぬ愛
 あなたは私を甦らせる