そこまで間髪入れずに携帯で文字を打ち、そのせいでほんの少し痺れる指に願いを込める。


どうか。

どうか私の言葉が少しでも、先輩に届きますように。


私の声が、先輩に聞こえますように。



「(先輩は優しさなんか持ち合わせていない、自分は人の幸せを邪魔する存在なんだと言っていたけど、そんなことありません)」


「……し、おり」


「(だって、私は先輩に出逢えて幸せです)」


「……っ、」


「(ついさっき、先輩のご両親に腹が立つなんて言ったけど。この世界に先輩を立たせてくれたこと。先輩に出逢わせてくれたことを、私は先輩のご両親に、心から感謝します)」