こちらを見ようともせず、視線を下に落としたままの先輩を見て思う。
先輩の、言う通り。
ブラウスだって乾いたはずだし、先輩も今すぐ一人になりたいのかもしれない。
だけど。だけどね、先輩。
それでも今、このまま何もせず、傷付いたままの先輩一人をここに残して帰るなんて、私には到底出来そうにない。
先輩をこのまま、一人ぼっちには出来ないから。
「……栞?」
「……、」
「なに、して……」
再び衝動的にペンを手に取った私は、ノートの新しいページを開くとそこに筆を走らせた。
たった、四文字。
出来る限り丁寧にそれを綴った私は、ゆっくりと先輩の前にノートを差し出して、自分の携帯を開く。