「……何が、大丈夫?」
「─── 、」
「何が、大丈夫なんだよ」
静寂を破ったのは、まるで地を這うような低い声だった。
長い睫毛を揺らした先輩が静かに顔を上げると、今まで見たこともないほどに無表情で。
感情のないロボットのような表情をした先輩と目が合って、私は思わず息を呑んだ。
「何も知らないくせに、なんで大丈夫なんて言葉が言える?」
先輩?
何も知らない、って……私は……
先輩の問いに、酷く困惑した私は重なる手に力を込めた。
─── 瞬間。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…