どれくらい耐えただろう。
不愉快なその感覚は永遠にも長く感じて、吐き気さえも催してきた頃には、降りる駅まであと一つ、というところまで来ていた。
とにかく早く、この電車から降りたかった。逃げ出したかった。
だけど、そんな私の心情を見知ったように、次の瞬間、その痴漢がとんでもない行動に出た。
「……っ!!!」
私のお尻を撫でるように触っていた手が、そろり、太ももを伝いスカートの中へと侵入しようとしたのだ。
(うそ……でしょ……!?)
今度こそ抵抗しなければいけないとわかっているのに、恐怖で少しも思う通りに動いてくれない身体。
その間も、下着の線を痴漢の指がなぞり、心臓が警報を鳴らすように高鳴った。
(い、いやだ……っ、誰か……)
そして、それは。
私の目から、とうとう涙の雫が零れ落ち、咄嗟に口元を押さえて鞄を握る手を強めた─── 瞬間。