* * *





「─── そうそう、ここはさっき教えた公式を使うと簡単に解けるよ。ちなみに、こっちも。この公式を一つ覚えれば、色んな問題に応用できるから」



先輩の綺麗な指が、見惚れるほどスムーズに問題を解く為の道を示してくれる。


先輩の説明はどれもわかりやすくて、丁寧で。


ここを押さえておけば、というところを端的かつ的確に伝えてくれた。



(それなら……ここも、これと同じ方法で……答え、あってるかな……)


「あ、そうそう。正解。大分慣れてきたんじゃない?」



ふわり、と。先輩が優しく笑ってくれる。


一問解く毎に、こうして先輩が甘い笑みをくれるから、これ以上のご褒美ってない。


樹生先輩の笑顔がご褒美なんて、本当に贅沢だ。


贅沢過ぎて……ブラウス、もう少し乾かずにいたらいいのに、なんて思ったり……って。


ああ、もう……!だから、ダメなんだってば……!


先輩は受験生だから、忙しいのに……っ!!