* * *
……ぶかぶか。
先輩に言われたとおり、濡れてしまったブラウスを脱いでパーカーを羽織るとドライヤーで髪を乾かした。
ブラウスは、ハンガーに掛けて浴室乾燥機の中に入れ、2時間のタイマーをセット。
スカートは未だに湿っぽいけれど、それはもう仕方ない。
脱衣所を出てリビングに向かい、しばらくすると先輩がカップを2つ持ってやってきた。
「……パーカー、やっぱりちょっと大きいね」
背の高い樹生先輩から借りたパーカーでは、手もスッポリと隠れてしまう。
パーカー越しにカップを受け取った私を見て、先輩は困ったように笑った。
「とりあえず、ブラウスが乾くまでDVDでも見ようか?それとも、勉強とかする?」
先輩の言葉に一瞬だけDVDを……と、思ったけれど、先輩が受験生なことをすぐに思い出し、慌てて携帯電話を手に取る。