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「ごめん、結構濡れたね。今、タオル持ってくるから、ちょっと待ってて」
突然の雨に降られた私達が雨宿りの為に向かった、樹生先輩の家。
先輩の言う通り、家までは公園から走って5分とかからなかった。
目を見張るほど大きいわけではないけれど、新築風の綺麗なマンション。
そのマンションのエントランスを抜け階段を登ると、先輩はある1室の前で足を止めた。
「……一応、初めに言っておくけど。俺、一人暮らししてて、家に親はいないから」
先輩の、その言葉に一瞬、蓮司に言われた言葉が脳裏を過ぎる。
“親の金でリッチに一人暮らししてる”
リッチかどうかはよくわからないけど……でも、一人暮らししてるのは本当だったんだ。