「あ……雨だ、」



と。

私達がベンチから腰を上げ、先輩がそう言葉を零したと同時、空から落ちてきた雫が私の頬に触れた。


─── 雨。

見上げると空は一面雨雲に覆われていて、落ちてきた水滴は休む間もなく地面にシミを残していく。


……って、いうか。

これってもしかして……、ううん。もしかしなくても───



「─── って、うわ、急に降ってきた!」


「(う、嘘ー…っ!!)」



想定外のその雨は瞬く間に本降りに変わり、傘を持っていない私と先輩を濡らした。


それでもすぐに、私たちは木の下へと避難したのだけれど。