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「そこ、座ろうか」
近くにあったスターバックスでアイスコーヒーとアイスティーを買った私達は、それを持って小さな公園に入り、青いベンチに腰を下ろした。
夏を目前にして、酷く湿気を含んだ空気は梅雨特有のもの。
手の平に伝わるアイスティーの冷たさが、やけに心地よく感じた。
「それで?栞は、なんでこんな時間に図書館にいたの?」
─── 図書館を出てからの先輩は、もういつも通りの先輩で。
あの一瞬、先輩が見せた表情は私の見間違いだったのかな、なんて思うほどに声もいつも通りだ。
「(あの……実は、同じクラスにいる幼馴染みと、喧嘩しちゃって。それで、その勢いのまま学校を飛び出してきたんです……)」
その理由が先輩のことで、なんて。そんなことはとても言えないけれど。
喧嘩の理由は書かず、それだけを打った画面を先輩に向ければ文字を一度だけ視線でなぞった先輩は、その綺麗な顔に優しい笑みを浮かべた。