学校を抜け出した私が向かったのは図書館だった。
何か、大きな理由があるわけではない。けれど、一番に思い浮かんだのが図書館だったから。
そこでしばらくの間、お気に入りの席に座って本を読んでいた私は、今日はどうしようかと悩んでいた。
勢いに任せて飛び出してきてしまったけれど、学校の方は大丈夫そうだ。
アユちゃんからLINEで【先生には、体調悪そうだったから帰ったって伝えといたよ】という、ありがたい報告が届いたから。
ということは、あとは放課後の時間までどうやって過ごすか、なんだけど。
こんなに早い時間に帰ったらお母さんが心配するだろうし、まさか学校をサボったなんて言えないから、家には帰れない。
(……とりあえず、ここで1日、本を読んでいようかな)
そう思って、私は開いていたノートを閉じると席を立った。
そして、嫌なことを忘れて没頭できる本を探すべく、本棚の間を歩いていたのだけれど、
(……え?)
そこにいた思いもよらぬその人に驚いて、思わず足を止めた。