「お、おい……っ、相馬……っ」
長々と話す担任の言葉を遮って、突然立ち上がった俺に、担任は焦ったような声を出した。
自分が言った言葉に、俺が傷ついたとでも思ったのだろうか。
別に、先生は“正論”を言ったまでなのに?
だから俺は、“気にしないでください”という意を込め、いつも通りの笑顔を担任へと向けた。
そんな俺の表情に安心したのか、もう何も言わなくなった担任に、俺は「失礼します」とだけ言葉を残して教室を後にした。
─── それから、約一週間後の今日。
あれからなんの返事も寄越さない俺に痺れを切らした担任に、呼び出されたのだ。
そして、ついに逃げ道を断たれ、どうしようかと憂鬱に苛まれて(さいなまれて)いる。
……悩んでも、結局選択肢は一つしか無いのだけれど。
「……ごめん。やっぱり俺、体調不良で早退」
「はぁ?」
「い、樹生……!?」
そうして俺は唐突に席を立つと、素っ頓狂な声を出した二人に「あとはよろしく」とだけ言葉を残し、逃げるように教室を後にした。