自分がこんなに自分本位な人間だとは思わなかった。
先に聞いて、ひとりで抱えてただろう兄の苦悩とか、そんなことに意識が向いたのすら、今朝で。
でも久しぶりに自分のことを冷静に見つめることができて、徹夜で悶々としたのも、無駄じゃなかったなと思う。
「どこが冷静よ。あんた思いっきり混乱中なのよ。無理しないの」
「俺もそう思う。一周して、見た目が普段どおりになっちゃってるだけだろ」
「そうなのかな」
今日は部屋でゆっくりしてたら? とふたりとも言ってくれたけど。
今日の練習は、楽しみにしていた、合宿の集大成の見せ場であるトーナメント形式の試合だし。
ひとりで鬱々としてる自分が簡単に想像できたので、むしろみんなと行動したいな、と思った。
「水越の家も、離婚?」
「そう、高2の時。まあもともと、不仲だったんだけどね」
「真衣子も、ショックだった…?」
「今思えばね。当時は、腹が立ってたよ、両親があまりに勝手な気がして」
同じだ。
親なら、家庭を維持することも義務でしょ、とか。
好きで結婚したなら、少しくらいのこと我慢してよ、とか。
一瞬でもそんなふうに考えてしまうのは、私が子供だからなのか、文字どおり、彼らの“子供”だからなのか。
「やっぱ反抗とかした?」
「したした。しまいには高校やめたくらい」
えっ! と私と加治くんの声が重なった。
言ってなかったっけ、と目を丸くする真衣子に、ないない、とふたりで首を振る。
「高認て、わかる?」
「コウニン?」
「まだ大検てほうが通りがいいかな。試験を受けて、大学の受験資格をもらうっての。あたしはあれで高卒扱いになってるだけなの」
「そうだったんだ…」
あまりに知らない世界で、言葉が出ない。
加治くんも同じらしく、しばらく真衣子を見つめると。
「なんか、パンチ効いてんね」
なんとも素直な感想を漏らし、私と真衣子をおおいに笑わせた。
先に聞いて、ひとりで抱えてただろう兄の苦悩とか、そんなことに意識が向いたのすら、今朝で。
でも久しぶりに自分のことを冷静に見つめることができて、徹夜で悶々としたのも、無駄じゃなかったなと思う。
「どこが冷静よ。あんた思いっきり混乱中なのよ。無理しないの」
「俺もそう思う。一周して、見た目が普段どおりになっちゃってるだけだろ」
「そうなのかな」
今日は部屋でゆっくりしてたら? とふたりとも言ってくれたけど。
今日の練習は、楽しみにしていた、合宿の集大成の見せ場であるトーナメント形式の試合だし。
ひとりで鬱々としてる自分が簡単に想像できたので、むしろみんなと行動したいな、と思った。
「水越の家も、離婚?」
「そう、高2の時。まあもともと、不仲だったんだけどね」
「真衣子も、ショックだった…?」
「今思えばね。当時は、腹が立ってたよ、両親があまりに勝手な気がして」
同じだ。
親なら、家庭を維持することも義務でしょ、とか。
好きで結婚したなら、少しくらいのこと我慢してよ、とか。
一瞬でもそんなふうに考えてしまうのは、私が子供だからなのか、文字どおり、彼らの“子供”だからなのか。
「やっぱ反抗とかした?」
「したした。しまいには高校やめたくらい」
えっ! と私と加治くんの声が重なった。
言ってなかったっけ、と目を丸くする真衣子に、ないない、とふたりで首を振る。
「高認て、わかる?」
「コウニン?」
「まだ大検てほうが通りがいいかな。試験を受けて、大学の受験資格をもらうっての。あたしはあれで高卒扱いになってるだけなの」
「そうだったんだ…」
あまりに知らない世界で、言葉が出ない。
加治くんも同じらしく、しばらく真衣子を見つめると。
「なんか、パンチ効いてんね」
なんとも素直な感想を漏らし、私と真衣子をおおいに笑わせた。