「あの、ファミレスとか漫画喫茶とか、このあたりにないですか。そこで始発まで待ちます」
そう言うと、善さんとB先輩がぽかんとした。
「もしかして、24時間営業のってこと?」
「もしかしなくても、そうです…」
「そんなもの、あるように見える?」
「…え?」
我ながら建設的で実際的なアイデアだと思ったんだけど、なんだか場が妙な空気に包まれた。
「あのコンビニだって、ついこの間まで、名前どおりの営業時間だったんだよ、このへん」
「………」
7時から11時まで、ですか。
私、ずいぶん遠くまで来たみたい…とカルチャーショックに呆然としながら、打つ手を考える。
ない。
「嬢ちゃん、晩飯もまだなんじゃねえか。食っていきなよ」
「いえ、そこまでしていただくわけには」
「B、泊めてやるだろ」
「それしかないよね」
「何かされたら声出せよ、嬢ちゃん。駆けつけてやるから」
力強く拳を握る善さんに、え? としか返せなかった。
何もしないよ、と憮然と先輩が言い返す。
「あとで客用の布団を上げてやるよ」
「ありがと」
布団?
頭がついていかない。
B先輩は、そんな私の戸惑いを見透かしたように笑った。
「俺、ここの二階に下宿してるんだよ」
なんとなく。
そういう意味なんだろうなって。
思ってました…。