「私もかわいそう、どう頑張っても二番以下で」
Bは何か言おうとしたけど、言えなかった。
うろうろと目を泳がせて、手に持った煙草を吸おうかどうしようか迷った末、まだ十分長さがあるのに、なぜか灰皿で消す。
その控えめなうろたえぶりに、笑った。
「寝よ」
手を引くと、ほっとしたようにBが微笑む。
私も煙草を消して、一緒に部屋に戻った。
こんなに丁寧に愛してくれる人、初めて会った。
これで私が一番じゃないって言うんだから。
「絢子が言ってたとおりだね」
「ん?」
「Bは、女を勘違いさせるんだって」
Bの肩にかけた脚で頭をこづいてやると、困ったように笑って、腿をなでて内側にキスをくれる。
ほら、そういうのがダメなんだって。
愛されてる気がしちゃうんだって。
最後は抱きあって迎えるのが好き。
そう言ったら、Bは毎回必ずぎゅっと抱きしめてくれる。
お互いの汗で、肌がすべる。
揺れるベッドの上で、ほんとこの男はダメだなと思った。
相当ダメだ。
優しすぎて。
「大きめのテニスサークルに、ちょくちょく顔出すって」
ベッドからバッグに手を伸ばして、メモしておいた手帳を開いた。
サークル名なんて言っても仕方ないだろうから、そのサークルの練習予定を写してきたのだ。
学内のテニスコートも無数にあり、予約制でみんな好きに使うため、どのサークルがどこにいるかなんて、知ってなきゃわからないから。