ねえこれまで、先輩がどれだけひとりだったか、今でもわかりません。

でもこれからは、私がいるって、思っていいんですよね。


幸せだったり楽しかったりするたびに、きっと先輩は、どこか不安になるんでしょう。

自分にそんな資格あるのって、問うてしまうんでしょう。


そうしたら、私を見てください。

いつでも、近くにいますから。

何度だって、呼びますから。





万里先輩。





優しい腕が、ふいに力強さを増して。

温かい唇が涙を拭いてくれる。

何度も何度も。



そのたびに、胸が詰まって。

必死に呼んだ。





産まれた時から、彼がずっと持っている。





本当の名前を。











Fin.

──Thank you!