言いながら、首筋と肩に次々落とされる唇と指が、ことごとく私を震わせる。



『この身体だって、もう』



前でかきあわせていたタオルケットを、ほどかれた。

にこりと笑って、人差し指を、とんと私の胸の中央に置く。



『たぶん、俺のほうが、知ってる』





わかるために、するんだよ、と最初の時、先輩は言った。

ぐちゃぐちゃにとろけて、まざりあって、自分でも気づかない何かを見つけてもらうためにするんだって、私も知った。


頬を落ちる涙が、浸かっているお湯より熱い。

私は、先輩の何を知っただろう。



ねえ先輩、どこまで本当でした?


私、幸せだったんです。

わかってた。

覚悟してた。

でも、こんな形でなんて、思ってなかった。

今だなんて、考えもしなかった。



出たら凍えてしまいそうで、冷めていくお湯から上がることができない。

どこにも行けない。

冷えたひざに、熱いしずくが落ちる。





どこまでが本当でしたか、先輩。

まさか全部嘘でしたか。


どうして、なんて。

訊くほうがバカですか。



ねえB先輩。

どこまで本当でしたか。



ねえ、どこからが。





どこからが、勘違いでしたか。