涙を拭きながら、それに笑った。

心からの拍手を送ると、弱りきった顔で手招きされる。


ギターを壁に立てかけて、ひざの間に座らせた私をうしろから抱きしめながら。

首筋に、照れ隠しみたいな、やけに長くて熱いキスをくれた。







その夜、私は初めて、頭の中が真っ白に飛ぶ経験をした。

全身から汗が噴き出して、これ以上続けたら自分がコントロールできなくなるのを予感する。

本能的に、身体が先輩を突っぱねた。



「や…嫌です、やめて、やめて」

「何が嫌?」

「やだ、先輩、嫌です、嫌」



混乱して暴れる私を、先輩がぎゅっと抱きしめる。

押し寄せる、未知の感覚の波に、怯えて涙がこぼれた。



「先輩、嫌です、やだ、怖い」

「何が怖い?」



優しく訊きながら、先輩はとまってくれない。

きつく私を抱きしめて、休むのを許してくれない。

私はもう、自分の声が、嗚咽なのか悲鳴なのか、それとも快感に喘ぐ声なのか、わからなかった。

つっぱっても叩いても、先輩は私を離さない。

突きあげるような感覚が押し寄せ、我を忘れて先輩にしがみついた。

おかしくなりそうです、と懇願するような泣き声が出た。

とにかく解放してほしくて、やめてと叫びながら、強く抱きつくしかない矛盾。



「なっていいよ」

「や…」



軽い波が訪れた。

身を反らせて耐える私に、それを感じるんだろう、先輩が容赦なく、私の腰に回した片腕に力を込める。


激しく揺さぶられる身体からは、もう声も出ない。

自分がどうなってしまうのか、わからない。


苦痛に近い強烈な快感と、不安に戦きながら、やめてと声にならない懇願を口にする私を。

先輩は絶対に許そうとせず、追い詰めた。