学校に着いて、自分の席に座る。
隣の席はまだ来てないみたい。
黒板の席順を見ても、あたしの隣には「斉藤」って書いてある。
隣の席の人と口をきけないなんて辛い。
ましてや、傷つけた人であり、好きな人。
そう。
あたしは陽人に片思いすることに決めたんだ。
告白なんて一生しないかもしれない。
でも、陽人を好きだって気持ちは変わらない。
いなくなって、むしろ存在がどんどん大きくなるばっかり。
そして、朝のお弁当も2人分作るクセは直らない。
どうしようかな・・・。
「おはよう」って声かけてみようかな・・・?
でも、それで無視されたらあたし、立ち直れないかも。
真由は「片思いは自由だ!」って言うけど、図々しくないのかな。
あたしは陽人を傷つけた言葉を発したことをずっと後悔している。
あんなこと言わなきゃ、今頃楽しい高校生活のスタートだったんだろうな・・・。
そんなことをぼんやり考えていると、ドサって音がして、隣の机にカバンが置かれたのが視界に入った。
無意識に目線を上に向けると、ちょっと大人になった陽人があたしをじっと見ていた。