「だから・・・別に毎日、陽人に来てくれなんて、あたし頼んでない!」


「澪?」


あたしの様子に戸惑った風に真由が聞いてきた。


「陽人にとって、あたしは重いんだよ!せっかく受験終わったのに、遊びにも行けないで毎日朝から夕方までお見舞い来て、陽人だって好きなことすればいいんだよ!」


「澪?オレは好きで澪で会いにきてるんだぞ?」


ちょっとムっとした顔をする陽人。


「だから、それが重いって言ってんの!だいたい、まだ15で病気の彼女なんて邪魔なだけじゃん!もっと健康でいっぱい遊べる子の方がいいじゃん!」


あたしの言葉に3人は黙っているけど、あたしの口はもう止まらなかった。


「そもそも病気って何?周りに迷惑かけてさ、心配させてさ、おまけに自分も苦しいし、なんであたしがこんな目にあわなきゃいけないの!?あたし、何か悪いことした?『頑張りすぎ』って何?なんで頑張ったのに病気にならきゃいけないの?」


「澪、それ以上言うと怒るぞ」


陽人が低い声で言った。


「じゃぁ、陽人はあたしと一緒に地獄に落ちてくれるの?この底知れない不安の中にすっと一緒にいてくれるの?」


「澪が落ちてくれって言うなら、オレは一緒に落ちるよ」


「簡単に言わないで!!陽人はなんにもわかってないんだよ!」


本当は陽人に一緒に落ちてほしくない。


でも、このドロドロとした感情を抑えることができない。


「・・・もう帰ってよ。顔も見たくない」


この言葉がずっと何年もあたしを苦しめることになる。


陽人のことを何もわかってなくて、自分本意なこの考えが陽人とあたしの終わりを迎えることになった・・・。