人がプツンと何かが途切れる瞬間なんて、結構実は下らないことかもしれない。


あたしの中の何かが切れたのは、本当に下らないことだった。


これから先、それを何年も後悔するなんてわからなかった。




陽人が大きなあくびをした。


「陽人、眠てーの?」


ケータイをポケットにしまいながら秋くんが言った。


「毎日早起きだからなぁ」


あくびを連発しながら答える陽人。


「陽人、面会開始からいつも来てるんだっけ?」


グロスを塗りながら真由が言う。


「そりゃね、大事な姫のためだから」


陽人の答えに3人で笑っている。


この陽人の発言で、あたしの中の何かが切れた。


プツンって・・・



「・・・別に来てくれなんて頼んでない」


自分でも驚くくらい低い声が出た。


「え?」


3人がキョトンとした顔であたしを見ている。