「桜井さん、気分はどう?」
優しそうな女医さんだ。
「もう大丈夫です・・・」
「さっきみたいに苦しくなったのは初めて?」
「はい」
女医さんは頷きながら、あたしとお父さんを交互に見た。
「失礼ですけど、お母様は?」
「妻はこの子が8歳の時に病気で亡くなっています」
お父さんが答える。
「それからずっと、お二人で?」
「はい」
「そうですか・・・」
何かに書き込んでいる。
「澪さんはいい娘さんですか?」
「はい?」
唐突な質問にお父さんが首を傾げた。
「まぁ、この歳の割りに反抗期もなく家事もやってくれるので、いい子だと思っています」
「なるほど・・・」
なんだろう?
これって何か関係あるのかな?
それからしばらく女医さんは、あたしとお父さんに普段の生活とか色々質問してきた。
質問が終わると、女医さんはあたしにニッコリ微笑んだ。
「澪さん、頑張り屋さんなのね」
どういう意味だろう・・・?