お母さんの七回忌。


特別何がするわけじゃないけど、お父さんと2人でお墓にいる。


「もう6年経ったんだな・・・」


お坊さんにお経をあげてもらってから、お父さんがぽつりと呟いた。


「そうだね・・・」



お母さんは頼りないお父さんと違って、いつも元気で笑っていた。


自分が病気になった時も笑っていたっけ・・・。


お母さんがいなくなったあの日。


うちの中の何かが音をたてて壊れた気がした。


毎晩ベロベロになるまで酔っぱらってたお父さん。


そんなお父さんがあたしは少し怖かった。


お父さんまでいなくなっちゃうんじゃないかって・・・。


お母さんがいなくなった事で、あたしは近所から、友達からも「可哀想な子」として見られていた。


正直、外に出るのも学校へ行くのもイヤだった。


全部、お母さんが悪いんだって思ってた。


今なら違うってわかるけど・・・。


違うんだって教えてくれたのは陽人だった。


あたしは不幸じゃないし、お母さんもお父さんも悪くない。


そう教えてくれたのは、まだ小学生だった陽人だった。