「手、繋いでるじゃん」


「うん」


いやいや「うん」じゃないじゃん・・・。


陽人はあたしと手なんか繋ぎたくないんだろうな・・・。



「澪は手、繋ぎたいの?」


「無理しなくていいよ・・・」


やる気なく呟くと、いきなり手を掴まれた。


「え?」


「オレはあんまりこういうのは得意じゃないけど、澪が繋ぎたいならいいよ」


そう言って、あたしの手をそっと握った。


夏なのに陽人の手は冷たい感じがする。


あたしもぎこちなく陽人の手を握る。


ドキドキする・・・。


陽人の手は想像より大きかった。


「き、緊張するね・・・」


何か喋らないと心臓の音が聞こえちゃいそうで早口で呟いた。


「うん・・・でも、イヤじゃないな」


「そう?」


「これからは手、繋いで帰ろうか」


「うん・・・」



微笑みあうこともできないけど、これでいいんだと思う。


これがあたし達のペース。


まだ手を繋ぐことにも慣れてないけど、ぎこちないけど、


いつか微笑みあいながら手を繋げたらいいな・・・。