背中を叩くペースは変わらない。


「声が出ない苛立ちは正直よくわからん。でも辛いのとか不安はわかる。オレが毎日くることで勉強できてないないんじゃないか?って思うのもわかるよ」


でも・・・。


「オレね、3年前澪と揉めて出て行っちゃったことすげー後悔した。澪をどうして支えられなかったんだろうって。もっと違う形があったんじゃないかって」


陽人・・・。


「もし同じ状況になっても、今度は絶対澪から目を背けない。そう思ってた」


あたしの顔を見てニッコリ笑う。


「辛いのはオレじゃないよ。澪だ。だから澪がオレのこと思って悲しくなる必要はないよ」


また涙がでた。


陽人のTシャツを握ってボロボロ泣いた。


そんなあたしを陽人が抱きしめてくれる。


「大丈夫。声は出る。オレもちゃんと大学に受かるから何も心配しなくていい」


規則的な背中をポンポンと叩くリズム。


子どもをあやすみたいに。


陽人は何度も何度も「大丈夫」を繰り返した。


あたしは悲しいんだか悔しいんだかわからず、ひたすら泣き続けた。


声が戻れば・・・。


陽人って呼べるのに・・・。