陽人の顔なんか見ないで夢中で走った。
もう少しで前の人抜けそう・・・。
「遅い!」
掴んでた腕を握り返される。
「え・・・?」
陽人があたしを引っ張って走る。
陽人に引っ張られながらどんどん走る。
前の人を抜かしてゴール。
1位でクラスから歓声が聞こえた。
ハァハァと息が上がる。
「大丈夫か?」
陽人が声をかけてきた。
「大丈夫」
笑顔で陽人を見る。
気持ちよかった・・・。
全速力なんて久々で・・・。
「紙になんて書いてあったんだ?」
あたしの手から紙を取って陽人が見た。
「あ・・・・」
「え・・・?」
陽人が驚いた顔であたしを見た。