ドキドキするのと同時に胸がギューっと痛くなる。


陽人が笑顔でお弁当を食べてくれるだけで・・・。


ううん。


あたしはやっぱり陽人と普通に話がしたかったんだ。


こっそり片思いしてようって思ったけど、


好きな人と話もできないって、すごく辛いことなんだね。


そう思うと涙が急に出てきた。


「澪?」


「なんでもない・・・」


泣かないって決めてたのに。


陽人と別れた時だって、あたしが悪いから絶対泣いたらダメだって思って、


ずっと我慢してたのに・・・。


ただ普通に話ができただけで涙が出ちゃうなんて、あたしはどれだけ自分にウソをついてたんだろう・・・。


隣の席も、委員会も一緒なの、本当はすごく嬉しかったのに・・・。


「気にしないで!なんかね、陽人とまた普通に喋れるの嬉しくて・・・」


涙をボロボロ流しながらだけど、精一杯笑ってみた。


「澪・・・・」


「お弁当、全部食べてね!陽人の大好きな、から揚げとアスパラ巻きだよ」


「そうだな」


陽人も柔らかい笑顔を見せてくれて、またお弁当を食べ始めた。