は、と呆気にとられるわたしを置いて。

冬眞は転がっていたピアッサーをひとつ手に取り、もうひとつをわたしに渡した。


「俺も開けるから、ふたりで1個ずつ。それならいいだろ?」


こてん、と、たぶんこれ癖なんだろうけど、冬眞は首を傾げて。

そんな可愛い子ぶったところでわたしは騙されないぞ、と思いつつ呆気にとられすぎて言い返せない間に、ピアッサーが厚紙とプラスチックの包装から取り出されていた。


「俺が瑚春の開けるから、瑚春が俺の開けて」

「む……無理だって言ってんだろ!」

「それは、開けるのが? 開けられるのが?」

「両方!!」


冬眞が一緒に開けたところで、何かが変わるわけもない。

ひとりじゃだめだけど、一緒にならいいだなんて、そんなこと、屁理屈にすらならないじゃないか。



「とにかく、嫌だったら嫌なの」


我ながら子供みたいなことを言う。

そしてそのままベッドにのぼって布団に潜り込むんだから、なんとも子供に誇れない大人だ。



小さい頃は、ハタチを過ぎれば誰もが世界の違う大人に見えた。

そして歳さえ取れば、自分も自然にそうなるのだと、淡い期待も込めて思っていた。


だけどそんなわけもない。

こうして、成人式もとっくにすぎて、社会的には“大人”と言われる歳になっても、中身はきっとひとつたりとも変わっていない。

変わっていない、というか、成長していないのか。

あのときからずっと。

喧嘩を売ったり、無謀なことに挑戦したりしていたあのときから、ずっと。

喧嘩なんて売らないし、無謀なチャレンジもしなくなった今になっても、根本的なところは、何ひとつ変わっちゃいないんだ。


きみが、わたしの頭を撫でて、笑ってくれていた、あのときから。