戻ると父が「交代」と言った。
「タバコ吸って飯食うからそれが終わったらお前は薬飲んで少し寝ろ。3時か4時には起こすから」
時計を見ると深夜の1時を過ぎていた。
薬が効くのに2時間近くかかる。
あたしは頷いて薬を飲んでからベッドのそばの椅子に座って母の手を握った。
さすがに丸1日以上寝てないからか手に力がなかった。
それでも目を離すと酸素マスクを取ろうとするのを慌てて押さえる。
「お母さん、我慢してね?」
息をする音を聞いてると痰が少し絡んでる気がする。
父が戻ってきた時にあたしはそれを言った。
父も音を確認して「そうだな、看護士が来たら取れるか聞いてみるか」と言った。
母の呼吸はゼエゼエに変わった気がする。
それでも必死に目を開けている母。
眠るのが怖いから寝ない母。
必死で生きようとしている母。