「ハッキリ言うけど、俺はお前らみんな嫌いだよ。アサヒの気持ちがわからなくもないしな。レベルが違う。でも、お前らはバンドを組んだ事がない。そこらへんは素人だ。優雨の『音は世界を変える』ってよく言ってる講釈も、アサヒはわかってるだろうし、事実変わったんでじゃねぇのか?でも俺には全くわからんけどな」


「じゃぁ、何で都築が残るのよ、出て行けばいいじゃん」


「何でって?だからさっきも言った通りに『お涙ちょうだいバンド』にいりゃ注目はされるだろ?それだけだ」


都築も財布からお金を出してテーブルに置いた。


「じゃぁな、次のスタジオん時な」


そう言って出て行ってしまった。




あたしはなぜかバンド名を考えた時を思い出した。

(ジャムるってのは、音楽だけじゃなくて人間関係とか紛争とかそんな時にも使われる名前なの)

確かにあたしはそう言った。




「鈴木、あたし・・・間違ってるのかな?あたしがアサヒを追い込んで、都築とアサヒの仲を上手に保てないのがいけないのかな・・・」


あたしの呟きに鈴木が慌てて答えた。


「そんな事ないよ!優雨は一生懸命だよ!だから、僕もアサヒも笑っていられるんだよ、今まで通りに自信もってよ」


「そう・・・かな?あたしバンドってわからないし・・・」


「僕だってアサヒだってわからないよ、でもわからないなりに色々やっていくのがバンドなんじゃないかな?そう思うよ、大丈夫だよ」



鈴木はそう言ってくれたけど、あたしの頭の中は追い込んでるのかな・・・この気持ちでいっぱいだった。