「いや、鈴木は多分正しいと思う。ひいきとかじゃなくても。でもな、都築。お前は何かあると俺に突っかかって来る。そんなに文句があんなら辞めろよ」



「でも!都築くんは口は悪いけど頑張ってるよ!練習だって一生懸命やってるしさ、ふざけてるんだよね?だって結成したばっかりじゃん」


鈴木がフォローしてるけど、アサヒが見る都築への視線は背筋に汗が流れるほどに冷たい視線だった。


「優雨!!」


鈴木の声に我に返る。


「ちょっと、止めてよ。あたし達始まったばかりだよ?もう少しみんなで努力してさ、その時考えない?」


あたしの声を遮るようにアサヒが呟いた。


「コイツは・・・、都築は俺がどんだけ必死なのかわかんねーんだよ」



「え?アサヒ・・・」



「俺は必死だったんだよ!ずーっと!今も!!右手が動かなくてピックが持てない時の悔しさとか、優雨と鈴木に追いつきたい気持ちとかそういうのお前には全然わかんねーだろ!?ふざけんな!!何がビンテージのギターだよ!!知らねぇよ!そんなの!!」



アサヒは立ち上がってお札を何枚が置いて「帰る」と言って出て行った。




「アサヒ!!」


店のスリッパで追いかけるとギターをかついだアサヒが振り返った。

あたしはそのままアサヒのそばまで走って肩を掴んだ。


「どうしちゃったの?急に、どうしたの!?」



アサヒは人と争うなんてしない人。

それがどうして急にこうなっちゃったの?



「優雨、俺追い込まれてんだよ。何もかもから」


「え・・・?何もかもって・・・?」あたしが言っても首を振って歩いて行ってしまった。