スタジオ帰りにみんなで居酒屋で反省会と打ち合わせ。

うちのスタジオ以外にも何軒かスタジオがあるから深夜の居酒屋はやたらと楽器を持った客が多い。




「今日は楽しかったね、パズルみたいに1曲出来るなんて」


お酒が苦手な鈴木がウーロン茶を飲みながら笑顔で言った。


「そうだねぇ、またさ「×」から曲作ろうよ」


あたしも頷くと都築が「アホか」と呟いた。


「こうやってまともに曲が出来るのにコイツはそんな事すら気づかないんだよ。こんなんに曲書かせる気でいるけどいいのか?」


「都築!!またアンタは!!」


「優雨、別にいいよ」



アサヒが頬杖をつきながらだし巻き卵をつついている。


「言いたいヤツには言わせておけばいいんだ。文句あるなら辞めろよ、出てけ」



「お前!!俺が来てやってるのってのがわかんないのか!?」


そんな都築をアサヒはチラっとだけ見て目線を卵にうつした。


「そんなに激しいギターソロをやらせてくれる、わかりやすい歌詞を書けるバンドに行けよ。ギターなんてどのバンドでも募集してる。別にJamsにこだわる必要ないだろ?」


ドン!!とジョッキをテーブルに置いて都築はアサヒを睨んでる。


「怒鳴るなよ。ここはスタジオじゃないんだ、俺にとってお前と鈴木のやりとりがすっげーストレスになる事が多いんだよな。特に作詞と作曲してる最中。今まであんまり言わなかったけど。ハッキリ言って迷惑」


「お前・・・!!」


「アサヒ!!僕の事も迷惑なワケ!?」


鈴木の悲痛な声がする。


あたしは黙ってそれを見ていた。